2012年3月17日 (土)

イギリスへの、プチ語学留学~その2

 ヒースロー空港に着いて、まず心配したことは、迎えのスタッフが本当に待っているか、どうかでした。

 このホームステイによる英語学習を実施する、現地イギリスの会社には、ネットを通じて申し込み、お金を払っていました。この会社には、追加料金も支払って、空港からホームステイ先まで、車による送迎も頼んでいましたから、迎えのスタッフがいないとすれば、詐欺に引っかかっている可能性だって考えられました。その場合、どうやって日本へ引き返すのか、心配したのです。

 それも、これから習おうとしている、英語を使って段取りをしなければならないことも想定されました。しかし、詐欺ではありませんでした。私の名前を書いた段ボール紙を掲げている、おじさんがロビーで待っていてくれました。ホッとしたなぁ、あの時は。

 ホームステイ先の、先生のお宅までは、ロンドンの西側にあるヒースロー空港から東へ直線で35kmほどのところにありました。ロンドンの中心部を車で抜けて行きますから、結構時間がかかった記憶があります。

 先生のお宅は、閑静な住宅地にあり、下の写真は、お宅の前の通りです。ロンドンの住宅地としては、標準的なところのようです。 

 
 

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 日本の、我が家のあたりとは、雰囲気が異なります。違いを挙げますと、

・ごちゃごちゃしていない。通りには、電柱はなく、両サイド歩道完備。どの家にも前庭(駐車区画へ変更の家も多し)があり、メインの庭は、各家の裏側(They say it's 'back garden')にあります。従って、通りが南側にある家のメインの庭も、南側でなく、家の裏側の北側。

・この地域の家のほとんどが、一軒の家が二戸に分かれる、semi-detachedといわれる造り。しかし、各家の裏に回ると、縦長ながら、70~80坪のback gardenがあり、ほとんどが芝庭ながら利用法はもちろん各戸それぞれ。

・ロンドン郊外の住宅のかなりの家は、このsemi-detached方式だと感じました。

 この通りの写真は、東を向いて撮ったものですから、後ろの西側はロンドンの都心部となります。このことが、家の番地に大きくかかわってくるのです。

 家の番地は、都心(厳密にはバッキンガム宮殿)に向かって、通りの右側が偶数、左側が奇数の番号が振られます。都心に近い方が若い番号となるそうです。

 従って、ロンドンでタクシーに乗って、目的地の、通りの名前と番地を告げると、ほぼ間違いなく連れて行ってくれるそうです。

 さて、先生のお宅に着いて、これから3週間過ごすことになる部屋へ案内されました。家は、部屋に改造した屋根裏を含め三階建て(このほかに納戸として利用している地下室あり)。私の部屋は、二階でした。ベッド、机、小さな洗面台のある、十畳弱の広さ。
 次の写真は、私の部屋から南側の隣家を写したものです。初夏の、ロンドン晴れの日でした。
 

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 日曜日着きましたので、翌月曜日の朝から勉強開始です。

2012年3月11日 (日)

イギリスへの、プチ語学留学~その1

 今回は、定年直後、イギリスへ英語を習いに行った話で、プチ語学留学~その1です。

 前回も触れましたように、英語の本を読むことは、サラリーマン時代も含め長い間、私の趣味でした。従って、日本語で読んでも分からないような(難解な)内容の本は別にして、大方の英語の本は辞書さえあれば読みこなせる自信があります。

 日本の英語教育が生む、典型的な Reading English 専門のヒトになっておりました。

 仕事の定年を迎えて時間に余裕が出来てきますと、フルートの開始とほぼ同じころ、英語を通じて他国の人とコミュニュケーションも図ってみたい、そのために、英会話を勉強しようという気分がわいてきました。

 しかし、最大の問題は、 Hearing です。英語ネイティブのヒトにペラペラ英語でしゃべりかけられたら、まぁお手上げでした。むこうの映画など見ても、内容理解は字幕オンリーで、英語のせりふは、言ってみれば、バックグラウンド・ミュージック。

 Speaking につきまして、日常生活で交わされる普通のことを瞬時に表現する、英語力が決定的に欠けていました。逆に、オフィシャルな場での小難しい話の方が(頭の中での英作文経由で)、伝え易いと感じていました。英語表現には、必ず英作文が伴ったのです。

 例えば、「(洗濯機の)洗濯終わったら、洗濯物を外に干しておいてね。乾いたら、中に取り込んで畳んでおくのよ。あっ、それに布団干すのも忘れないでね」といったことを英語でどう表現するか。

 これが、英作文なら、時間かけて、満点でないにしても60~70点ぐらいは取れる英語を私は作文できると思います。でも、この会話文は、日本語を経由せずに、瞬時に「英語」が飛び出してくる必要のあるものでしょう。

 日常会話に必要な英語の、個別の単語は、スラング、幼児語を除いて語彙として脳のどこかに貯えられているはずです。上の会話文と同じ内容の英語版見せられたら、私は多分瞬時に内容を日本語で理解できるでしょう。

 自分の英語力について、だらだらと書いてきましたが、冷静に考えますと、私には、日本語から離れた英語力はなかったのだと思います。自分で英語力と思っていたものは、日本語とセットとなった英語で、言ってみれば、変形した日本語の一つだったのです。

 ネイティブにも通用する英語力とは、英語が英語として独立している(日本人の場合なら、日本語を介さない)英語だと思います。

 しかし、日本に生まれ、日本語の中で育った私には、この域の英語力に達するのは、およそ無理というものでしょう。どれだけ近づけるがポイントだと思います。

 そこで、考えました。英語力をアップするためには、日本語のない(日本人のいない)環境に自分を置いて、英語を学ぶ必要があるのではないかと。

 結論として出てきたのは、英語を母国語とする国へ出かけ、日本人と接触しない環境で、ネイティブの先生から英語で英語を教えて貰いに行くことでした。

 ネットで検索の結果、行先はイギリスとしました。ホームステイで、ステイ先のホストが先生として英語を教えてくれる、イギリスのサイトを見つけたのです。24時間(睡眠中を除く)英語漬けの生活で、日本語との接触は避けられそうです。

 ネットを通じて、このホームステイによる英語学習(3週間の個人レッスン)を申込み、航空券を自ら手配、授業料はクレジットカードで支払い、英国航空へ乗り込んでイギリスへ出かけました。

 2006年6月17日午後、ロンドンのヒースロー空港へ到着しました。生まれて初めての海外一人旅でした。機外に出ますと、そこから3週間の、日本語無しの生活が始まりました。 

 続きは、次回ということで。

 

 

2012年3月 7日 (水)

英語が好きになったわけ

 ブログ開設来、フルート関連の話を記事にしてきました。ラファンの頭部管購入の際、メーカーのブランネン社とメール・電話のやり取りをしたことにふれました。これが何とか出来たのは、「英語」は私にとって、もう一つの趣味だったからです。

 英語との付き合いは、もちろん中学校の時からです。勉強嫌いの子供だったため、当時は、英語に限らず全ての学科で勉強の仕方を知りませんでした。とりわけ、英語は、単語を機械的に覚えなければならない、面倒な学科と思っていましたから、好きな学科になるはずがありませんでした。それが中2まで続きました。

 中3になると、高校入試という、人生最初とも言うべき試練が目の前に来ました。さすがその時になりますと、これは大変だとガリ勉を脈絡なく始めましたが、非効率な勉強法でしたから、やたら時間を食うのです。もっと簡単な勉強法はないかと考えました。そしたら、英語を勉強している時に気が付いたのです。なるたけ労を少なくして成果を得る方法を。

 今思えばきわめて当たり前の話ですが、大方の学科の基礎部分は、論理で出来上がっています。勉強で大事なことは、対象としている学科の、論理(根っこの理屈)を理解することだと思います。根っこが分かれば、記憶に必要な労力は劇的に少なくて済みます。また、理屈が分かっていれば、応用問題への対応も楽となります。

 このことを、私が中3の時に悟ったわけではありませんが、当時英語の勉強をしている時に、これに近い感覚で英語に接し始めたら中学英語がスーッと頭に入りだしたのです。

 具体的に英語の場合で言いますと、次の三つのことを意識している必要があったように思います。

 ①言葉は、人が意思疎通するための道具だから、必ず法則性があるはず。         
 ②英語の法則性と日本語のそれとの違いに着目する。
 ③(当時の学校での)英語教育は、英語を通して日本語を教えていた(「日本語訳」の重視)

 さて、高校に入りますと、私の英語好きを決定づける授業に出会いました。

 英語担任の先生は、教科書の方はそこそこにして、謄写紙に自らタイプ・印刷した副読本を中心とした授業をしてくれたのです。

 中味は、すべて、イギリスの作家、サマセット・モームの短編小説。最初のうちは、それは難しかったなぁ。当時英語圏では流行作家として名を成していたモームの小説を、ほんの数か月前は中学生だった、15~16歳の生徒に原語で読ませるわけですから、ムチャといえばムチャな話。

 でも、モームの話は面白かった。結構シリアスな話を軽妙なタッチ(「色恋も含めたヒトの生きざまをおちょくる感覚」)で取りまとめた話がほとんどで、知らない単語のオンパレードの原文を、辞書引きながら筋を追っていく楽しさにはまりました。

 後になって分かったことですが、モームの英語は、複雑な構文を使わない分かりやすい文章で書かれており、初心者向きの英語だったのです。

 この高校時代の経験以来、社会人になってからも、英語の本を読むのは、私の大きな楽しみになりました。

 しかし、それまでの、私の英語は、言ってみれば、reading Englishで、英会話となると、別な話です。フル-トの話の時も書きましたが、私は生まれつきの音痴、従って(?)、英語のhearingは 苦手とするところでした。

 英語好きのおじさんがこれではいけない、他人とコミュニケーションの出来る英語を少しは身に付けようと、定年後一大決心しました。フルートへの取り組みとほぼ同じころです。そこで、イギリスへミニ語学留学に出かけることにしたのです。

 これの、くわしい話は、次回ということにさせてください。

2012年3月 1日 (木)

フルート練習の防音をどうするか

 少ない年金に頼った生活ですが、それでも毎年2月から3月にかけては確定申告のシーズンで、それなりに気ぜわしく時を過ごすことになります。これに伴い、ブログの方も空白が続きました。

 今日は、「フルート練習の防音をどうするか」について、書いてみます。

 初心者がフルートに馴染んでいくためには、思い切り笛を吹きこんでいくのが大切だと痛感しています。とにかく音を出していかなければ話にならないのです。

 フルートの場合、低音、中音の音域はほぼ同じような指使いですから、吹きこむ息のスピ-ドを変えることによって、中・低音を吹き分けます。高音となると、息のスピードをさらに早くしなければ、発音してくれません。

 ところが、この「息のスピード」とやらが曲者で、上下の唇で造った小さな穴(アパーチャー)から勢いよく息を吹きだせば、それで全てが済む話ではないのです。

 ゴムホースで庭に水を撒く時、水道の蛇口の開き具合をそのままにして飛び出す水の勢いを増すためには、ゴムホースの、水の出口のあたりを小さくします。フルートの高音発声の原理もこれと同じだと思います。

 「理屈は簡単、行うは難し」の典型です。なぜ、難しいのか。それは、全音域の発声をコントロールしてくれるアパーチャーの形成・維持が容易でないからです。

 このアパーチャーの形成・維持とは、(小難しく言えば)「静態的」なものでなく、時間の流れに沿った「動態的」な管理を必要とするものだと思います。加えて、そこでは、単に上下の唇のコントロールだけでなく、「吹きだす息の量」、「吹きだす息の角度」、「アパーチャーとフルートの歌口との距離」等々、数多くの変数が待ち構えています。

 だから、初心者は音は出せても、豊かで・きれいな音を出すのが難しいのだと思います。しかし、「難しい、難しい」と愚痴っていても、鍛錬(練習)がなければ前進しません。

 初心者ほど発声練習が必要なわけですが、一般的に言えば初心者の音ほど雑音そのものの音になります。特に、初心者の高音部の発声練習となりますと、それは、(美しい音を出してくれると世間の人が思っている)フルートの音とは思えないでしょう。バイオリンの場合と事情は似ているのではないかと思います。

 そこで、何らかの防音対策が施された環境があれば、初心者も心おきなくフルートを吹きこんでいくことができます。

 各人の練習環境はそれぞれですから、防音対策も区々にならざるを得ないと思います。以下では、私の防音対策を紹介します。

 私の家は、両隣(東西)・前隣(南)が接しあう、狭小区画に建つ一軒家。洗濯物をベランダに干しに行くと、同じくベランダにいる隣の奥さんと、普通の音量で世間話ができる環境にあります。

 フルートの練習は、2階の自分の部屋でやります。この部屋の南側には、ガラスで囲った、小さなサンルームがあります。従って、私の部屋は、外向きにはサンルームの窓と、サンルームと部屋の境にある窓の二つで囲われていて、防音対策は、これで大丈夫だと思っていました。

 しかし、フルートを始めてから分かったことですが、音はしっかりと外に漏れていました。これでは、安心して練習できないと、サンルームに通じる窓の、部屋側に、もう一つ内窓を設け、三重の窓にしたのです。これで、外への音の漏れはほぼ無くなりました。

 防音対策は、これで万全と思いました。家の中での防音対策も、壁には防音効果の大きい材が使われていましたから、安心していたのです。でも、見落としがありました。部屋のドアです。高音部をガンガン(他人の耳には「キィキィ」)練習すると、音がドアを突き抜け、家族から耐えられないとのクレームが発生しました。

 これには、ドアを何とかするしかありません。建具屋さんに相談して、遮音効果のある金属を中に入れたドアに変えて貰いました。完璧ではありませんでしたが、ある程度の減音効果があって家族からのクレームはなくなりました(あきらめたのかもしれませんが)。

 そこそこの防音措置を施したとは思っていますが、ひょっとすると何らかの不都合が隣家に発生しているかもしれません。そこで、フルートの練習は、午前8時から午後8時の間と自己規制もかけています。

2012年2月 9日 (木)

ラファン頭部管、購入の流れ&吹き心地

 前回、ブランネン・ブラザーズによる、「ラファン」頭部管に目を付け、購入したことを書きました。生まれて初めての海外メーカーへの発注で、やや緊張しましたが、思いのほか簡単に物事は推移しました。

 ブランネンとの最初の接触のあと、一週間ほどメールのやりとりをして、「15%gold・85%silverの管体,リップsilver,ライザー14k、アドラー付き」を発注しました。値段でみると、オールシルバーの頭部管が一番安く、私が発注したのは、下から二番目のものです。

 発注したのは木曜日でしたが、在庫があったとみえて、四日後の月曜日には、ブランネンが手配したFedexの国際宅急便で到着しました。

 他社の頭部管を購入しますと、既存の胴部管へスムースに差し込むために、「すり合わせ」と称する、調整が必要となります。

 この頭部管は、マエスタに挿す予定でしたから、マエスタをブランネンまで送れば、すり合わせをしてくれるとのことでしたが、アメリカまでフルートを送るような、面倒なことはしたくありません。そこで、すり合わせは、知り合いのアイハラフルートの相原氏にやってもらいました。

 このラファンの頭部管には、管厚.014インチ(0.356ミリ)と.016インチ(0.406ミリ)の二種類あり、ブランネンからはどちらにするかと聞かれました。相原氏によれば、厚い方が調整しやすいとのことでしたから、.016の方を注文しました。

 支払いはクレジット・カード(visa)で行いました。ドルへの交換もクレジットカードが一番得だと思います。visaの場合、交換レートは、取引時点の為替相場に(今は円高でドル安い)、相場の1.63%の手数料上乗せで済みます。
 外貨送金すると、ドル買い、送金の両方で銀行にダブルでピンはねされます。

 税金に関しましては、まず、楽器の関税はゼロですが、国内へ持ち込む時点で消費税5%がかかります。ただし、消費税は、(商品価格の60+輸送費)に対しての5%となります。Fedexの国際宅配便の場合、通関の際Fedexが立て替え払いしてくれ、後日請求がきました。

 さっそく、パールの970マエスタに差しこんで吹いてみましたら、軽々と、朗々とした音が出るのです。吹いてる本人は良い音だ思いましたが、他人へもよい音色になっているのかどうかはわかりません(腕が腕だから)。

 ラファンって、老人向きの頭部管でもあることには、間違いなさそうです。

 (番外の話) ブランネンとのやり取りは、ほとんどがeメールでした。英語といっても、簡単な英文を書けばよいわけで、それほどの難儀はありませんでした。eメールがダメだったのは、クレジット・カードの番号を先方に知らせる時だけでした。

 カードの番号は、eメールでは他に漏れる可能性があり、危ないから、FAXか電話で知らせてくれというのです。

 我が家の電話に付属しているFAXは、日本製品のくせして極めて信頼性乏しく、しかもFAXだと、先方着信後、関係者でない者にのぞかれる心配もありました。

 意を決してブランネン社に電話をかけました。最初の難関、オペレーターがまず出てきましたが、メールにあった担当者の名前の連呼、連呼です。電話が担当者につながってしまえば、後は楽勝でした。先方だって、商品を売りたいから、丁寧にこちらの英語を聴いてくれたからです。


2012年2月 4日 (土)

頭部管 ラファンの登場

 マエスタでのフルート練習に慣れてきましたら、またぞろ、音色を少しでも良くしてくれるかもしれない道具探しが始まりました。そんな暇があれば練習に精出すのが王道ですが、生来の新しいもの好き、年入ってからの修業といったこともあり、道具に頼るのが前面に出てきたのです。

 だからといって、新しい笛を買っても事態は多分同じであろうことは十分予想出来ました。そこで、目をつけたのが頭部管です。

 フルートは、頭部管、胴部管、足部管の三つの管体からなり、これら三つを繋いで(組み立てて)一本の笛となります。この一番上の頭の管は、息が最初に笛に入る部分ですから、吹きこみ口(歌口)・筒の形状、材質等によって、発声される音色・音量は微妙に異なるとされています。

 メーカーによっては、一つのフルートに数種類の頭部管を用意して、吹き手の要望に応えているところもあります。サイズが合えば、同一ブランドだけでなく、他メーカーの頭部管への取り換えも可能なのです。従って、笛の音色を変えたいと考えた時、頭部管の交換だけで済むなら笛一本買うより安くつきます。

 私のパール・マエスタには、標準装備のPHN-1と、こじんまりとした優しい音を発するレガート(Legato)の二つの頭部管が付いていました。頭部管が二つもあれば、十分なわけで、私もこの二つの頭部管に何の不満もありませんでした。加えて、出番は少ないけれど王様的存在のアルタスALも控えています。

 そこで止めておけばよいのに、引き続き、ネットでの頭部管検索を続けていました。すると、頭部管の王様であるみたいな書きっぷりで「ラファンの頭部管」の記事が度々ヒットしてくるのです。

 そこで、ラファンのことを調べてみました。

 ラファンとは、J.R.Lafin氏のことで、同氏は頭部管専業のメーカーで世界のフルート界に名を成しています。ゴールウエイ氏など世界一流の、少なからずのフルーティストがラファンの頭部管を使っているそうです。

 世界一流どころが使っているというだけのことでしたら、私も食指を動かさなかったでしょう。ところが、ラファンの頭部管のすごいのは、超一流の吹き手でないヒトでも、使ってみるとそれなりの音色を発声してくれるところ(「発声しやすい」との評価もあり)にあるようでした。

 しかし、ラファンの頭部管はムチャ値が張るのです。シルバーの頭部管は、国産のメーカー品なら、新品で10万円前後、中古で5万円前後。ラファン頭部管の新品は、シルバー製のものでも国産の、中程度の総銀フルート新品が一本買えそうな値段が付いています。ラファンの中古も高くて買う気にはなれません。

 ここで、ラファンを手に入れたいという気持ちは萎えてしまいました。ところが、ある時、アメリカのフルート・メーカー、ブランネン(Brannen Brothers)のサイト を見ていましたら、ブランネン社とJ.R.Lafin氏は、ラファンのシルバーの頭部管の製造をブランネンで行うことに合意したとの記事がありました。

 (ネットの別な情報によれば、J.R.Lafin氏は年入ったこともあり、頭部管製作はゴールドだけ自ら行い、ゴールドより安価で数の多く出るシルバーの製造・販売はブランネンに譲渡したとのこと)

 Brannen Brothersは、世界に冠たるフルート・メーカーの一社で、その品質の高さには定評があるようです。ブランネンの頭部管も評判が良く、そうしたメーカーがラファンの頭部管製造を引き継ぐのであれば、品質の継承にも不安ないと思いました。

 ブランネンのサイトには、ラファン頭部管の価格表もあり、それを見ると、もちろんドル表示ながら日本での販売価格より安いのです。

 ここで、またぞろ、私に潜む’物欲虫’が囁きました。「Brannenにeメールを打って、売ってくれかどうか訊いてみたら?」

 メールを出しましたら、すぐ返事がきました。「喜んで売ります」と。後は、私にとっては毎度おなじみの一直線の道です。

 購入の流れ、ラファンの吹き心地は、次回ということで。

2012年2月 1日 (水)

主役の座、アルタスALからマエスタへ

 さて、我が家に後からやってきた中古のマエスタがアルタスALを駆逐し、主役の地位を勝ち取ってしまった、と前回の日記に書きました。なぜ、そんなことになってしまったのか、これが今回の話です。

 結論を先に申し上げますと、これは、ひとえにオーナーたる私のえこひいきによるものでした。

 中古のマエスタを入手して、まず、やったことはオーバーホールです。依頼したのは、我が家から車で一時間ほどのところにある、笛工房アイハラの相原さんのところです。

 「新品修理」と称する、オーバーホールをお願いしましたところ、本当に新品同様となってマエスタは戻ってきました。アルタスALとは微妙に異なりますが、柔らかい音を発声してくれます。この笛で毎日の練習を続けることになりました。

 マエスタをメインに使いながら、時折ALも吹いていましたが、時間の経過とともに、マエスタに体の方がどんどん慣れていき、ALの発声がマエスタに較べ難しくなってきたのです。

 初心者のため詳しい理由は分かりませんでしたが、同じアンブシュアで吹いたつもりでも発声の具合が違うのです。当然、使用時間の長いマエスタの方が吹き易くなっていきました。

 アルタスフルートは、内向きに吹けば発声の具合が良いとされ、頭部管の胴部管への差し込みも、歌口の穴の向こう側(聴衆側)の端の線と、胴部管のキィの真中を通る線とが一致するようにセットすればよいと教わりました。

 購入した当初はそれほど発声に苦労しなかったALの取り扱いがどんどん難しくなっていったのです。「内向けに吹け」との教えも、なぜ「内向きに」吹けばよいのか理由が分かりませんから、やや機械的に頭部管をセットすることになり、事態は少しずつ混乱していくことになりました。

 2年ほど前、アルタスフルートの吹き方を、銀座の山野楽器でアルタスの田中会長から直々に教わる機会がありました。初心者コース(人数、4人ほどに限定)とやらに、全くのど素人の私も参加させてもらいました。

 でも、参加した甲斐がありました。田中会長は私のアンブシュア(というより唇の形か?)を見て、「あなたは、頭部管をアルタス方式よりもほんの少しだけ外側にした方がよい」との示唆を受けました。

 これで、アルタスALやや吹きやすくなりましたが、それでも使い慣れたマエスタの方が発声し易いことには変わりませんでした。

 マエスタが主役の座に就く背景は、こうした私のALの練習不足が大きいのだと思いますが、これに輪をかけたのが、マエスタにラファンの頭部管を挿し始めたこともありました。

 次回は、頭部管ラファンの話です。

2012年1月29日 (日)

アルタスALの運命やいかに

 アルタスALについて、アルタスのWEB での説明を要約しますと、次のようになります。

 「アルタスのフラッグシップの一つ、ALモデルは、・・・オールドフレンチフルートの名品「ルイ・ロット」(Luis Lot)を現代に蘇らせようとの意図で製作されたアルタス入魂のハンドメイドフルートです。かの時代のフルートに宿っていた臨場感に富んだ音色を蘇らせるために、研究を重ねて、使用されていた銀素材の成分の解明にアルタスは成功しました。そこで得られたデータを基に作られたのがこのALモデルです。・・・この銀素材で作られるALモデルは、当時と同じ1枚の銀板から管体と頭部管を作る「巻き管」製法を採用しています。美しい良い響きを求めた、このフルートは、まさに現代に蘇ったオールドフレンチそのものです」と。

 ALにつきましては、メーカーの気合いの入った、このふれ込みに加え、ネットでの評判も良好で,大いに触手を動かされることになりました

 それではと、銀座の楽器店に出かけ、ALの試奏をさせて貰いました。素人耳にも、約40年前のムラマツM180よりも柔らかい音色を発してくれました。「ルイ・ロット」がどんな音色の笛なのかは知りませんから、ALの音色が「ルイ・ロット」と同じなのかは分かりませんが、間違くなくいい笛だと感じました(極めて当たり前の話か)。

 本当は、ここでじっと堪えて、他の笛も試奏するなどの冷却期間を置くべきなのでしょうが、生来のせっかちな性格が前面に出、また、「年寄りは残り時間が少ないよ」との囁きも聞こえ、エィヤァと買ってしまいました。ムラマツM180は、ささやかな金額で楽器店に引き取られていきました。

 購入したのは、AL・RE(インライン・リング、Eメカ付き)のC管。なぜリングにしたかと言いますと、店にはリング式のALしかなく、また、見た目も、オフセット・カバードの笛よりも格好良かったからです。

 初心者でしかも年寄りがリング式の笛に取り組むについては、不安はありませんでした。リング式に慣れ親しんでいくことが、ボケ防止にもなるのではないかとも思ったのです。

 この新品のALをフルート・レッスンの場に持ち込みますと、先生はびっくり仰天。ルイ・ロットを模したという、現代の名器で、早速練習開始です。それでも、毎日吹いていますと、購入日あれほど感激した音色にも耳が慣れ、毎回感動もしなくなりましたが。

 そうこうしていますうちに、一つの問題が気になり始めました。ALは、私にとりましてはきわめて高価な笛なのです。そのような笛で、リングに慣れる・指使いを覚えるといった、超初歩的な練習をやるのは、もったいないと感じ始めていきました。

 初歩的な練習には、別な、もっと安価な笛を使い、ALは本番もしくは勝負時に吹くという具合の、使い分けをしようと思い始めたのです。

 そこで考えたのが、AL購入時に試奏もして好印象だった、パールのマエスタです。さりとて、新品を購入する余裕はありません。マエスタも値の張る笛です。中古で程度の良いのを探し始めたのです。

 そしたらありました。パールのマエスタ、それもプリスティーン・シルバーと称する銀純度.970の笛が中古で。

 中古のマエスタが我が家にやってきました。2号機のつもりで購入したのですが、そうこうしているうちに、あの現代ルイ・ロット、アルタスALを駆逐し、1号機の地位を勝ち取ってしまったのです。

2012年1月25日 (水)

アルタスALの購入

このブログの二回目の記事、「なんでまた、年寄りがフルートを」で、「フルートを本格的に習い始めて四年ほど経ちました」と書きました。しかし、この書き振りは間違いではないにしても、厳密に言うと正確ではありません。

 

実は、40ほど前、サラリーマン時代、半年ほどフル-トを習ったことがありました。当時は鉄筋コンクリート造りの社宅住まいでしたが、隙間風の吹き込む、お粗末な建物で、初心者が笛をピーピー鳴らす行為は正気の沙汰ではありませんでした。この時の半年ほどの間に、笛の方は最初の洋銀から管体銀へ変わっていましたが、管体銀へ買い替えたころに、フルートをギブアップしていたのです。

 

4年前、フルートを本格的に習い始めた際には、35年間ほど押し入れで眠っていた、この管体銀(ムラマツのM180)の笛をオーバーホールして、本格的に習い始めたのです。

 

レッスンに通うになって一番気になったのは、自分の出す音色の悪さでした。歳入ってからのフルート修行ですから、「後がない」意識が前面に出て、何とか音を良くしたいが最優先事項となりました。そうなると、音を良くしてくれると思われることにはすぐ飛びつくようになったのです。カネに糸目を付けずと言いたいところですが、やはりカネは大きな制約とはなりましたが。

 

 現時点で考えますと、管体銀のムラマツM180で私には十分だった筈です。しかし、フルートらしい柔らかい音が出ないのは、腕の問題があるにしてもやはり道具のせいが大きいと、四年前の習い始めの頃は強く思っていました。上等のフルートなら柔らかい音を出してくれると信じたのです。そして、ネットでフルートの試奏関連の記事を検索しまくりました。

 

 東京に出る機会があったら、大型楽器店へ立ち寄り、各メーカーの総銀フルートを試奏して帰るのが常となってきました。

 

 そして、試奏した笛の中で「いいなぁ」と感じた笛に出会いました。アルタスのALとパールのマエスタ(プリスティーン・シルバー)でした。どちらも値の張る笛です。私の心に潜む、物欲虫は「両方とも買えば?」と囁きました。

 さあ、どうしようかと大いに悩みましたが、余命中の必要資金と残存貯蓄額等々を検討した結果、エイやぁと、アルタスALを買ってしまいました。

 

 しかし、フルート購入は、これで終わりにならず、大逆転が待っていたのです。

 

2012年1月22日 (日)

フルート修行の第一関門、音出し~アンブシュアの形成

  今回は、フルートの購入遍歴を書くつもりでしたが、この話と私の上達具合(進歩があればの話ですが)とは密接に絡み合っています。そこで、音楽イロハ修行とは別に、フルート修行のなかで、最初に苦労し今も苦労している、「音出し」について、まとめておきたいと思います。

 

 フル-トを吹くヒトの多くが、楽器更新の期待・願望あるいは経験をそれなりにお持ちなのは、結局は「音出し」に絡んだ理由が殆どだと思います。

 

 私にとりましても、フルートの最初の難関は、やはり音出しでした。リズム、音程(フルートの場合、指使いに直結)がいくら大変だといっても、音が出なければ話になりません。スカスカの、ボァーとした音は、比較的簡単に出せましたが、それは、楽器から出る音と思えるものではありませんでした。

 フルートの音出しは、息の吹き出し口、息のスピード、息をフルートの息穴(「歌口」)へ吹きこむ角度、吹くために吸い込んだ息の保持等々、数多くの変数を連立方程式に放り込んで答えを求めていくようなものだと思います。数多くある変数の一つでも、方程式に入れ忘れると、フルートらしい音は出てくれないのです。

 このうち、一番難しいのが、フルートの業界用語で「アンブシュア」と称する、「唇で造る息の吹き出し口」の形成です。

 「なぁに、唇を細めて小さな吹き口を造ればよいのではないの?」と考えがちですが、そう簡単に問屋はおろしてくれないのです。これには苦労しましたし、今でも苦労しています。なぜ、苦労するのか最初は皆目分かりませんでしたが、最近その何故が分かりかけてきたつもりなってきました。我ながら(まさに当社比)、大きな進歩です。

 きれいな音を出すための「アンブシュア」の形成が難しいのは、やや逆説的な言い方となりますが、「唇で小さい穴を造る」ことだけに意識を集中するためではないかと感じています。

 「小さく柔らかな穴の形成」が必要なのは、「息のスピ-ド」を確保しつつ、音をコントロールするための手段だと思います。ところが、「小さな穴の形成」に意識を集中しすぎますと、それ自体が目的化し、「息のスピ-ド」、「息の角度」などの他の変数への気配りがどこかへ飛んでしまうことが多いのです。これでは、「唇の小さい穴」は出来ても、肝心の音がキチンと出てくれないのです。

 政治あるいはビジネスの世界でよく見かける、「手段の目的化」は、フルートの世界でも避けなければならないことと思います。

 つまり、適切な「アンブシュア」とは、単に「唇で小さい穴を造る」ことだけではなく、そこを通って流れる空気をコントロールしていくための仕掛けですから、唇の形だけでなく、息のスピ-ド、息のコントロールなどの適切な管理を含む幅広い概念だと思います。それも、概念的に理解しても、それが実際に自分の意図したとおり稼働して、良い音を出してくれなければ意味ないのです。

 私の場合、どうすれば「良い音が出る」かは理屈の上では分かりかけてきましたが、体の方はまだ完全には呑み込み切れていないというところです。

 

 「アンブシェアの形成」には、唇の形状といった肉体的特徴が大きくかかわっていると思われますが、ヒトの唇の形はヒトそれぞれに異なっています。

 

  そうなりますと、「アンブシェアの形成」の基本の考え方は同じでも、実際の、各人別の出来上がりの形は変わらざるを得ないのではないかと思います。つまり、万人共通の形はないのです。各人のアンブシュアの、最適な形は各人が各様に造っていくしかないと思います。

 

 

«フルート修業の開始、悪戦苦闘の始まり

2012年3月
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